はざまをくぐり抜ける
壁と壁の隙間に入り込むように、穴のあいてしまった時間に潜り込んだ。
そんなはずはない。
そんなはずはない。
それだけを繰り返す。
安易に世界を見渡せる時だけに突然現れる、怠惰な穴。
落ちたからといって、破滅に導かれるわけではない。
そんな絵になることなど、ある訳がない。
少しずつ消え去ってゆくのみだ。
記憶から消えてゆく音を聴いたことがあるか。
ごぼごぼと音がするんだ。
ちょうど、生ぬるい水を飲んだように。
その痕跡は、ナメクジが通った後のように濡れている。
薄気味悪い後が残るんだ。
ほら、見ろよ。
目を凝らすと、色々な所に空いているのが分かるだろ。
色々なヤツが落ちている。
なんてことはない。
それが見えるのは、オレ自身が穴に落ちているからだ。
そろそろ、戻る時間だ・・・。
by harry_hk | 2005-07-05 02:19 | 言葉