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『ビビを見た!』はすごい絵本

この絵本はすごい。
メッセージ性があるというよりも、強烈なインパクトのある絵本だ。



ビビを見た!

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大海赫 ブッキング 2004年




この大海赫さんは、よしもとばななさんにも大きな影響を与えて、オマージュの本まで出したぐらい、有名な作家さんなんですが、なかなか知られていません。
加えて、大人(特に「えらい人」や「かしこい人」)からあまり好かれない本です。
その理由として、安易な表現方法だとか、子どもに悪影響を与えるだとか、
・・・そういった理由みたいです。
いったい、何を根拠にしているのか分かりませんが。


内容はとても、シュールで考えさせられる話です。
盲目のホタルに、ある日突然、「7時間だけ見えるようにしてやろう」と言う声が聞こえます。
初めて「世界」を見たのですから、当然喜んでいましたが、それもすぐに不安へと変わります。
それは、自分以外の人たちがみんな盲目になっているからです。
しかも、自分のかっていたペットの犬までも・・・。
そこに、人も町も世界も壊してしまう、恐ろしい巨人が現れて、みんなが逃げ惑います。
突然、盲目になったので、パニック状態の中で。
そんな時に、美しい緑色の少女ビビを見つけます・・・。


そんな始まりの物語です。
後は読んでのお楽しみです(笑)
自分も雑誌『教育』というところに、少しだけ書評したのですが、とても面白い本だと思います。
エドワード・ゴーリーもすばらしいと思いますが、どちらかというと大人の絵本のような気がしますが、こちらは子どものための児童文学だと思います。
残酷な話ですが、そこに不思議と子どもなりの興味というかファンタジー感が生まれてくるのです。
絵本は、文字が少ない分、絵で見せ、また想像力を膨らませます。
加えて、社会世相が、そこら辺の大人の批評書よりも痛烈であることもしばしばです。
ですが、最近はあまりにもキレイ過ぎる話ばかりが「良書」になっているような気がします。
もしくは、明らかにわかるようなドキュメンタリーの悲しい状況を綴った本でしょうか。
そんなマニュアルのような評価にいつからなったのでしょうか?
灰谷健次郎さんの『兎の眼』のようなすばらしい本も、今では良書にならないかもしれません・・・。


自分の書評にも書いたのですが、むしろ大人にこそファンタジー感は必要で、それが欠如しているのではないのかなんて思うのです。
善悪をその物自体で判断するのではなく、大人や親や周りの環境の創造の豊かさによって、その価値が変わるのではなんて思うのです。


まぁ、ぐだぐだと書いてしまいましたが、是非ともお読みいただければと思います。
大海赫さんの『ガイコ』も自分は好きですね。




ビビを見た!

by harry_hk | 2005-07-16 13:52 | BOOK